2015年5月4日月曜日

去る者は追わない?

先週末、筆耕の納品へ行ってきました。
今回、ご依頼を受けたのは『過去帳』。
先祖代々の亡くなられた方の戒名や命日、俗名などを記入する帳面なんですが、
これがまたとてもコンパクトで、書く欄も小さく、もちろん間違えたらアウトです。
なので、相当、レイアウトを練ってからでないと墨入れ出来ません。
お客様の方で、こんな風に書いて欲しいというご要望と、実際のスペースや見た目の問題とのすり合わせもあって、草稿には時間がかかりました。
賞状を書くときもそうですが、レイアウトをどう決めるかが仕上がりに大きく左右してしまうので、
ここは丁寧に時間を費やしました。

今回のお客様、実はいつもお世話になっている印刷会社の社長からの個人的なオーダーでした。
過去帳の打ち合わせに伺った時に、
『3月に納品してもらった卒業証書の仕上がりに、学校側も大変満足していただいた様で、丁寧な仕事をしてくれて営業担当も私も感謝していますよ!』と社長からお礼を言われたりして、恐縮してしまいましたが、とても嬉しかったです。
全力をかけて納品したものに関して、いつまでもクヨクヨ考えない!というのが師匠の教えでもあるので、あまり思い出さないようにしていたんですが、大変嬉しい評価を頂いて、励みになりました。

師匠の仰る、納品後はクヨクヨしない!というお言葉はとても深い意味があって、
今の自分のスキルを最大限に使って丁寧に仕上げて納品したんだから、最善を尽くした!という事であり、仮にその仕上がりに、クライアントが満足しなければ、もう依頼も来ないだろうから、そこは割り切りなさいと。反対に、仕上がりに満足していただいたならば、きっとまた仕事が来るだろうから、その時は、また全力を尽くしてやれば良いだけ!
自分の手から離れたものに関して気持ちを残して精神が乱れ、目の前の仕事に集中出来ないのはもっての外であり、プロ失格なんだよと。
依頼を受ける→最善を尽くす→きちんと納品する→また新たな依頼を受ける
この流れをスムーズにこなす事がプロであり、途中段階で雑念を抱いている場合ではない!という
大変有難い教えなのです。
また、納めたものに対して、お客様側の、単純にこの字が好きとか、嫌いとか、出来栄えよりも書風そのものに関しての好みの問題もあるので、去る者は追わないというのも、雑念を抱かない為に必要なことと仰っていました。
見かけによらず、クヨクヨ型なので、この教えを守る事こそが、良い仕事に繋がる為に必要な心構えであると思っております。


今回の過去帳は、そういった流れをきちんとこなせたから頂けた仕事なのかもとつくづく・・・。
そして肝心の過去帳の仕上がりですが、社長にお渡しするや否や
『これは素晴らしい!』と絶賛してくださり、また一つ、良い経験をさせて頂きました。

GW真っ只中ですが、私はいつもと変わらない月曜日がスタートしました。
今週も目の前の仕事を丁寧にコツコツと仕上げていきたいと思います。

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